実用性・話題性・市場性を高めるブラッシュアップ
- 2015/2/24
- いーみやげブログ
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伝統工芸品に注目する
地元秋田には、樺細工、大館曲げわっぱ、川連漆器、銀線細工などの伝統工芸品がありますが、話を聞く限り、昔のようには売れなくなったというのが共通の見解でした。以前は一家に一つは樺細工の茶筒があったり、曲げわっぱのお櫃があったりしたものですが、消費者のライフスタイルや家族構成が変化したことにより、市場性に乏しくなったものと考えられます。つまり、昔は実用性が高かったものが、今では実用性が無くなったということです。もしかしたら、現代の若い人はその名前さえ知らないかもしれません。
ブラッシュアップとライフサイクル
ではどうしたら売れるようになるのか。売れるといえば語弊があるかもしれません。現状必要な事は再認知といったところでしょうか。商品には必ずライフサイクルが存在します。どんな商品やサービスであっても、必ず「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」のプロセスを経ます。取り扱う全商品・サービスのライフサイクルを合わせたものが、企業のライフサイクルという意味になります。「衰退期」に入った商品は売れず、製造しても在庫の山になるだけです。そこで必要になるのが「ブラッシュアップ」です。新商品開発は企業にとってリスクも高く、既存商品をマイナーチェンジして、売れるように活性化していく方が、リスクは少ないのです。
商品コンセプトについて
ブラッシュアップするに当たっては、新商品開発の時と同様、商品コンセプトの策定と市場調査が必須です。商品コンセプトとは、誰がいつ、どこで、どのようにその商品を使うと、どのようなメリットが得られるかを、具体的に分かりやすく決めたものです。必要な事は、「ターゲットの設定」、「ニーズの設定」、「販売チャネルの設定」、「シーズの設定」など。可能であれば社外の有識者も交えて決定すべきだと思います。
実際のメリットと問題点
なぜiPhoneケースを選んだかというと、まずひとつは今までとはターゲットが全く異なるということでした。高年齢層のターゲットを若年層まで拡大することが可能です。もうひとつが、漆業界が先行し、当時話題性が非常に高かったことです。話題性が高い=ニーズが存在するということになります。販売ルートも、今までとは違ったチャネルを開拓することが出来るようになります。異分野のチャネルを新規開拓出来れば、今後別の商品を流通させる際にも役立ちます。問題になったのはシーズでした。製造元とも協議しましたが、当時の3Gという機種は曲線が多く、ボディのベースに桜皮がうまく貼れないこと、貼ってもしばらく使用していると剥がれる可能性があることでした。問題解決のために、削りだした木製ボディを仕入れ、これを加工するという方法を取りましたが、原価が跳ね上がる結果となってしまいました。また本体のモデルチェンジのペースが早いため、在庫を恐れながら注文の都度製作するやり方を取らざるを得ません。しかし裏を返すと、「一品一品オーダーメイドで手作りしている」「高級感溢れる堅牢なマホガニー材のボディ」という表現が出来ました。 まとめると、売れなくなった商品にはブラッシュアップが必要、ブラッシュアップは企業そのものの寿命をも延長する、ブラッシュアップは話題性が高いということになります。モノの売れないこの時代、一度自社の商品やサービスを見つめなおしてみてはいかがでしょうか。
この記事は2012年8月26日に株式会社インフォミディアリのブログに寄稿したものを再編集しています。